新型インフルエンザの流行で昨年5月以降、小中学校では休校や学級閉鎖が相次ぐ一方、高校や大学の関係者も授業や行事の実施をめぐって頭を悩ませた。
日本に先行して感染が広がっていたカナダに多くの生徒が留学していたという大阪府内の私立高校の校長から、当時の苦悩をつづるメールをいただいた。
この高校では、流行前の昨年1月から生徒約40人がカナダに1年間の予定で留学し、夏には約80人が短期留学することになっていた。《決断を迫られたが、ウイルスが弱毒性で、リスク以上に留学による教育効果のほうが大きい》と判断、予定通り実施した。
秋の文化祭も変更はしなかった。《インターネットのブログ(校長だより)で文化祭決行を掲載したところ、多くの保護者から支持を得たことが心強かった。本校の判断は間違っていなかったかと思う》。校長のメールには、苦悩の末の決断に対する確信のようなものが感じられた。
学校生活で、とりわけ子供たちの思い出になるはずの修学旅行や文化祭。中止か決行かと、多くの学校で判断に悩んだことだろう。
京都の私立大学の男性職員からは、世間の目や報道に振り回された現場の様子を記したメールが届いた。
《大阪や兵庫で感染者が見つかると、すぐマスコミから(休校の有無について)問い合わせの電話が入った。「休校に踏み切らない」と答えると、「ええっ? 休校しないんですか」と詰め寄られ、「何かあったら責任を取れるのか」と責めたてられた》という。
当時、京都では感染が確認されておらず、行政から休校の要請はなかったという。《いったいどうすれば世間やマスコミにとって「合格点」なのでしょう。その時の情報をもとに最良の判断をしても責められるのでしょうか》と訴えていた。
先に紹介した私立高の校長も《(感染者を出した)高校の校長が謝罪会見を行っているのを見て、日本全体が集団パニック的な方向に向かっているのではと危惧(きぐ)した》という。
「何かおかしい」「でも止められない」。そんな流れが自粛ムードを加速させたのだろうか。(秋)
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